Profile
東京都出身、横浜市在住。1983 年からフィルムカメラで写真を始め、2009 年よりデジタル一眼レフカメラに移行し、RAW 現像、露出ブラケット撮影からのHDR、レタッチ加工等のポストプロセッシングに興味を持ち現在に至る。東京カメラ部10 選2012 に選出されてからカメラ人生が大きくかわり夜景撮影(都市/工場)をメインとしながらも風景、FineArt、Conceptual、Minimal Art など幅広く写真撮影を楽しんでいます。
速写性をサポートするバンガードオリジナルのセンターコラムを採用したトラベル三脚シリーズ「VEO 2」。中でも「VEO 2 265CB」は、最大パイプ径26mm、5段カーボン三脚、耐荷重8kg、重量は1.3kgという、携行性と剛性を追求したモデル。工場夜景をメインに、滝など長秒撮影を駆使した撮影で知られる原朋士さんに使用感を聞いた。
夜景撮影をメインとしている私にとって、三脚はなくてはならない存在です。年齢的にあまり重たいものは持てないので携帯性にはこだわりますが、望遠レンズを多用するため汎用性も欠かせません。先代のVEOも愛用していますが、撮影スタイルに合致しつつトラベル三脚であることを考慮すると、VEOしか選択肢はないですね。脚ではなく、センターポールのみの収納で機内持ち込みサイズになるというのはVEOの大きな特徴。そしてVEO2では石突き、脚のロック方式、フリクションコントロール、耐荷重などさまざまな変更点があります。私の撮影スタイルにはどれもありがたいものばかりで、このようにユーザーの声を商品に落とし込んでくれるメーカーの姿勢もとても素晴らしいと感じました。
これは横浜市の新磯子というところで撮影しました。根岸製油所という施設が対岸に見え、海面へのリフレクションがとても美しいseascapeが撮れるのでよく足を運ぶ撮影スポットです。日の出前は紫~青のグラデーションの空になり、望遠レンズで長秒撮影すると雰囲気が出ます。HDRのためにブラケティング撮影をしており、最長のシャッタースピードは30秒ほどです。
長秒撮影をする際のコツは、とにかくシャッターを開けたら絶対に機材に触れないこと。そして少しのブレも防ぐためになるべくセンターポールは延ばさないようにします。このときも構図的に必要なかったのでセンターポールは最短にしています。VEO 2には水準器が付いているところもありがたいです。工場と周囲の景観をパノラマ撮影することがあり、その際にはカメラの水準器とは別に三脚の水平・垂直を合わせておく必要があるからです。また、新たなモデルは「フリクションコントロール」が付き、自由雲台の動きの重さをコントロールできるようになったのです。この写真は望遠ズームを使用していますが、重量のある機材を使うときは自由雲台の動きを重くすることで、機材が急激に動いてしまったりするのを防ぐことができます。これは個人的にはかなり目玉機能だと思います。
こちらは望遠ズームの望遠端側を使って撮影しています。このレンズはインナーフォーカス式ではなく鏡胴が伸びるため、望遠側にするとどうしても重心のバランスが崩れるのです。今回はおもりを付けていないのに全くブレが出ず、VEO 2の剛性感をとても感じました。特に軽い三脚を使う場合は固定に気を遣います。風が吹いている場合は傘を風よけに使うことも多いですね。いまはカメラの高感度が進化していますが、絞り込み、低感度で長秒撮影するのが工場夜景の定石。光芒が美しく描写され、水面のリフレクションもドラマチックになるのです。
私は工場夜景をメインに撮影しており、あまり風景写真は撮らないのですが、滝の写真だけはよく撮ります。どちらも長秒撮影を多用するため撮影に共通する部分が多く楽しいのです。これは長野県上田市の唐沢の滝。滝を撮る場合、流れをどのように表現するかが鍵を握りますが、私はND500やND1000のフィルターを使い、水を流すように撮影するのが好みです。シャッタースピードの選択は水量と風の強さ(木々の葉っぱがブレないギリギリ)によって毎回まちまちですね。
私が好みとする滝は渓谷に多く存在していますから、必ず足場の悪い道を歩いていく必要があります。ですから、トラベル三脚をリュック型のカメラバッグにくくりつけて両手をフリーな状態にして歩くのがいいと思います。唐沢の滝では岩場からローアングルで撮影しており、このときは3アングルに調整できる石突きがとても役立ちました。岩場のちょっとした窪みでもグリップします。またレバー式のように水が付いてもサビを心配する必要がなくなったのは大きいですね。
これも同じく長野県上田市にある雷滝というところ。水量が多く、名前通りもの凄い爆音とともに水が流れ落ちる様は圧巻です。遊歩道があり滝の真横や裏側に行けるのですが、濡れていて滑ります。人の流れがありますし、飛沫が酷いので時間をかけずに撮影する必要がありました。センターポールだけの操作で組み立てができるVEO 2の仕組みはスピーディーなセッティングに向いています。そして、こういうときに感じるのは、とにかく愛用して操作を体に染み込ませることですね。慣れてくると、地面の様子を見ただけで脚の長さなどを判断できるようになりますから。
滝の撮影をするときは縦構図を使うことも多いです。このときはL字ブラケットを使うので、VEOシリーズで採用されているアルカスイス互換はとても助かります。雲台だけの操作ではやはり縦構図は厳しいですし、光軸のズレが生じるのも違和感に繋がります。
中綱湖という長野県大町市にある小さな湖です。シンメトリー構図が人気で、桜開花の時期には多くのカメラマンで賑わいます。周囲に民家があるようなところですが、切り取り方によっては有名な御射鹿池のようにも見えます。このように日中で明るさ的には何も問題なく手持ち撮影できるときであっても、私はNDフィルターを使い湖面の表現方法を楽しんでいます。またシンメトリー構図なのでしっかりと水平・垂直を取るためにも三脚での撮影は必須です。
続いて青木湖です。写り込んでいる人はピタッと止まっているのに雲は流れており、写真の知識がある人が見ると少し不思議に感じるかもしれません。これはブラケティング撮影をして、露出合成をするときに人の部分だけはシャッタースピードが速いカットのものを使っているからなのです。このようなHDR合成は現像時に作業することがほとんどですが、どうしても意図した通りにいかないときにPhotoshopを使ってレタッチしています。
朝一番のロープウェイで八方山荘まで行き、そこから1 時間半歩き八方池を目指しました。しかし、到着をしたらすでに人が沢山。宿泊組もおり、かなりの人出でした。しかもガスが酷く視界がほとんどなく、撮影は無理かなと思ったのですが、敢えて霧中で長秒撮影することで、霧を動かしもっと霞の強い世界にしてみました。肉眼ではもう少し鮮明に遠景が見えていたのですが、狙い通りの雰囲気のある写真が撮れました。
私は絶景を求めて登山することはあまりありません。なぜなら、今回の八方池のように撮影目的地の状態がイメージ通りでは無かった時、がんばって登ってきたのにまたこの山を下るのかと思ってしまうじゃないですか(笑)。VEO 2はリュックにくくりつけるとほとんど重さを感じないくらいなので、登山をする際にはもってこいです。この軽さでありながら26mmの太さの脚というのはいいですよね。23mmくらいのものもトラベル三脚にはありますが、もっとも細い脚が歪んでしまいあまり重たい機材は乗せられません。やはり、安かろう、軽かろうは三脚選びにおいてはダメですね。これからも車移動前提で使っている重たくて強靭な三脚と携帯性・汎用性に優れたVEO 2をうまく使い分けていきたいと思っています。
VEO 2<ヴィオ2>はバンガード初のトラベル三脚VEO<ヴィオ>の後継で、バンガードオリジナルのユニークなセンターコラムを継承。1本のセンターポールを反転する事により、素早いセッティングが可能です。マットなアンスラサイトカラーでよりスタイリッシュで滑らかな質感になりました。ヴィオコレクションのカメラバッグとのカラーコンビネーションも抜群です。
VEO 2三脚は、全9モデル。パイプ直径23mmモデルにはブラック、レッド、ブルーのカラーバリエーション、パイプ直径26mmモデルにはカーボン製とアルミ製があり、多彩なラインナップとなっています。またすべての雲台はアルカスイス互換となっております。
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→ 「VEO 2 265CB」が2017年度グッドデザイン賞を受賞いたしました
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